こんな大量の料理、食べきれるのかと思ったくらいだったのだが、結構食べ切れるんだな・・・
師匠とコルノが用意してくれた料理はとてもおいしかった。
昔、稽古の終わりが遅くなったときなどに夕ご飯を食べさせて貰ってはいたけど、いつでも料理の量は多かったのを覚えている。
「・・・ホントにサボテンステーキ、出してきたんですね・・・」
「観光に来たならこれを食べないとサラセンに来たーって感じ、しないでしょう?」
「いや・・・まぁそうなのかなぁ??」
俺が悩むとコルノは嬉しそうに笑っていた。
ってそうじゃなくって。
「俺たち、観光だけで着たわけじゃないんですよ」
「ん?違うの?二人に観光させるためじゃ?」
俺が言うと、師匠は不思議そうにそう問いかけてきた。
その問いにルゼルが返事を返す。
「違うんです。僕たちは闘技大会に−−−」
「出るのね!ジルコンがっ!」
話を遮って師匠が嬉しそうに・・・というかわくわくした顔で言った。
俺はう〜んと悩みながら言葉を返す。
「出るとかまだ決めては居なかったんですけどね・・・
でも今年の闘技大会は中止だとかで。」
「僕たち、ちょっとした事情があって闘技大会の賞品にルビーがあるって聞きまして・・・」
「欲しかったの?」
「そうなんだよ〜凄い必要なもんでさ。
買うと高いしさぁ」
ルロクスが言うと、師匠は『それはざんねんねぇ』と言う。
「その賞品、盗まれちゃったらしいわよ?」
「えっ・・・ルビー、盗まれちゃったんですか?」
師匠がこくりと頷く姿を見て、ルゼルがショックとばかりに顔を曇らせた。
「そっか・・・ルビーが盗まれたんだ・・・」
「いいえ、ルビーも、よ?」
俺の呟きに師匠が訂正する。
え・・・?
「優勝賞品は結構たくさんあるんだけど、
それ全部、盗られちゃったらしいのよ。
未だに犯人はわからないらしいわ。
私も夜が怖くなってねぇ」
何を言う・・・師匠なら強面の戦士とか軽く倒せるくせに・・・
と心の中で突っ込みを入れていると、師匠は何か思いついたらしく−−−
「そうだっ!ジルコン、あなたが捕まえなさい。」
「え゛っ・・・?」
師匠はとんでもないことを言い出したのだった。
師匠の提案・・・というか強制命令。
“サラセンで騒がしている怪盗を捕まえろ”
俺たちは師匠の家に泊まることになったのだが、こうなるとは正直思ってもいなかった。
師匠の家の部屋、物置小屋になっている場所かと思いきや、結構綺麗に整えてある部屋だった。俺達用にフトンを用意されていたのだが、それが俺の分も入っているところをみると、師匠は勝手に俺がここに泊まると母さんに伝えてるな・・・
「こんなことしている場合でもないんだけどなぁ・・・」
「ジルさん、お師匠様の頼みなんですから。
ルビーの件は残念ですけど・・・また情報探してみますし。」
俺がぼやいていると、ルゼルが逆に申し訳なさそうな顔をして俺を見上げ、言う。
まぁ、師匠じゃなくても、誰かの頼みを断るって言うのもいい気がしない。
「でも、急げるときは急ぎたいよな。」
ルロクスがぼそりと言う。
そして『おやすみっ』と言ってがばっとフトンの中に入ってしまう。
なぜだが解らないがときどきルロクスは何かに焦ったような顔を見せるときがある。
それをルゼルも気づいているんだろう。心配そうな顔でふとんにもぐってしまったルロクスへと目をやっている。
なんか、悩みとかあるのか・・・?
あんまり旅をし続けて神経を尖らせてしまっているのかもしれない。旅に慣れていないのにいろんなことがあったしな。
今度、ルロクスの生まれ故郷、スオミに戻るか・・・
今日のところはそっとしておこうと、俺は早々に床につくことにしたのだった。
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