<アスガルド 神の巫女>

第二幕

神の巫女 × S・O・A・D
〜ふたつのルアス〜




第二話 2人+アレックス



「ほ〜〜〜すげ〜〜〜っ!!アレックス!ほんとここルアスなのか!?」
「そうですよ。ルロクスさんはルアス初めてなんですか?」
「いや〜。この前みたときのルアスとは大違いなんだ。へ〜〜」
「ルアスは城下町として栄えている。それが常識なはず....
 こんなふうになってるなんて、聞いたこと無い...」
アレックスは二人の男と一緒に歩いていた。
先ほど出会ってばかりだ。
突然空から降ってきて、キョロキョロしていたので拾ってみた。
落ちてる物は結構拾うタイプなのだが、
人間を拾ったのは初めてだった。
見たことのない景色に興奮している元気のいい魔術師の男
いや、男というよりは少年ほどの年だろうか。
彼はルロクスというらしい。
そしてもう一人の聖職者の男性。彼はルセルというらしい。
そのルセルが口を開いた。
「ルロクス。もしかしたらここはおれ達の世界じゃないかもしれない」
「へ?どういう事だよっ!」
「文献で読んだことあるんだ....並行世界。
 似たような世界でも、何かしら違うらしい
 信じられなかったけど妙に合点がいく....おもしろいな」
「ルロクスさんとルセルさんは別の世界から来た?
 そういう話好きですよ。あ、って事は二人は外人さんって事ですね」
「外人って...まぁそうだね」
ルセルはそう言いながらフっと笑った。
「異文化コミュニケーションってやつですね。
 僕そういうの大好きですよ。世界にはいろいろな食べ物がありますもんね!
 それに知らない人と会うのも大好きでして、でもそれ以上に食べ物が....」
「異文化コム...こみゅ?その言葉はよく分からないけど
 見たこと無いもの見るのは楽しいよな〜。俺もずっとスオミ生活でさ〜
 学校じゃ見れない物ばっかだから見るもの見るものがすっげぇ楽しいよな」
「魔術学校のようなもんですか?じゃぁ結構スペルに詳しそうですね」
「え?あ、あぁ...まぁな」
ルロクスは言葉を濁す。
多分本当はサボり屋だったのだろう
そんな雰囲気がアレックスには感じ取れた。
自分も結構面倒くさい事は案外嫌いだからだ。
「ってそれよりアレックス〜。
 俺ら以外にもしかしたらこっちに来てる仲間がいるかもしれないんだけどさ〜」
「仲間?どんな人ですか?」
「んっとな。ジルコンとルゼルっていうんだけどさ」
「ルセルさん?目の前にいるじゃないですか」
「ん?あぁ。おれらが探してるのはルゼル・T・ナータ
 おれはルセル・T・ナータだ」
「?一緒じゃないですか...何言ってるかよく分かりません・・・馬鹿なんですか?」
「.....アレックス。君結構口が悪いな」
ルセルが苦笑いをする。
ルロクスは腹を抱えて笑っていた。
「"ゼ"と"セ"が違うだろ〜?アレックス〜」
「あ、なるほど」
「おれとルゼルは兄弟みたいなもんなんだ」
「なぁアレックス。なんか手がかりとかねぇの?」
「手がかり...ですか。分からないですけどお手伝いくらいならしましょうか?」
「おぉ!アレックス!お前いいやつだなっ!」
「たしかに助かるな」
「でも気をつけてください。実は僕はある男を捜してるんです
 依頼されて僕の仲間のドジャーさんとバラバラで探してるんですけど
 その男ってのが危険な人でして....」
「危険?」
「『ニック・ザ・カッター(切り裂きニック)』と呼ばれる殺人鬼です」
「さ、殺人鬼!?」
「はい。ニックは最近99番街で出没している連続殺人鬼です
 今月だけで7人。獲物は全て女性。
 そして〜......必ず〜.....切り刻んで〜............殺す
!!!!....そうですよ」
アレックスが両手でガーッとやる。
いや、"ガーッ"しか表現がしようのない動きだった。
驚かすつもりだったのだが、
ルセルの冷たい目線に気付きアレックスはその行動に深く後悔した。
「ハハハッ、馬鹿だなアレックスってさ」
ルロクスの追い討ち。心に10のダメージ。
「....ま、まぁルロクスさんとルセルさんが探している.....
 えぇーっと...ルゼルさんとジルコンさんでしたっけ?....という人は
 名前からして男だと思うので大丈夫だと思いますけど」
「女だけを狙った殺人鬼か....」
突然ルロクスの顔つきが変わる。
さきほどまでのヤンチャな印象は消えていた。
なかなか勘がきくのかもしれない。
「ルセル!」
「あぁ、大丈夫だとは思うが、少し急ぐか...ルゼとジルコンを探そう。」